第3回講演会・懇親会―平成13年10月15日(月)―
第3回のPower30'sの例会は、バクスター鰍フ桜堂渉氏に「医療の現場から〜医療は今後どう変わる」というテーマでお話をしていただきました。自分の生活にとても近いところにありながら、その実態についてはあまりよく理解できていない「医療」について、各種データや、アメリカでの現状を交え、とてもわかりやすくご説明いただけたと思います。

これまで、医者の友人達の話を聞いていて、漠然と今病院は苦しい状態にあるのだろうとは思っていましたが、赤字経営の病院がこれほど多いというのは驚きでした。病院における経営や管理の欠如はよく言われることですが、やはり一般のマーケットと、医療のマーケットとは異なる成り立ちであることが大きいのでしょう。商品(サービス)内容が均一でないこと、医者と患者は主従の関係になっていること、保険が介在することによりコスト意識が双方で希薄であることを、やはり私達の側も重く受けとめる必要がありそうです。

また、非常にショッキングだったのが、医療過誤の実態でした。私の友人にも、医療過誤で裁判を起こそうとしている人が複数名いましたので、結構実感をもってお話をお聞きしました。人間が携わっている以上、医療過誤はなくならないとのことでしたが、やはり患者の側としては、それが本当に確率としてどうしても起こってしまう過誤なのか、医師の技量が未熟なために起こってしまう過誤なのか、そのあたりについてはどうも納得がいかないというのも事実だと思います。医者が何も見ずに処方できる薬は50種程度であるなどを聞いてしまうと、本当に大丈夫なのかというのが実感ではないでしょうか。

それにしても、考えさせられたのは日本とアメリカとの相違でした。平均入院日数もアメリカは5日に対し、日本は1ヶ月だそうですし、インターネット等による情報開示もアメリカは、ミシュランによるレストラン評価並みに詳細なもののようです。1つの症状に対して、処置される治療内容や、そのあとの回復状況(Outcome)の違いを聞かされてしまうと、もし重い病に自分もしくは身内がかかってしまった場合には、ぜひアメリカで治療を受けるべく、それまでにお金をためておこうと、つい思ってしまいました。

しかし、本当の解決策は、やはり私達が関心を持ち、監視することによって、日本の医療を変えていかなければならないということでしょう。桜堂さんも「情報化によって医療を変える」とおっしゃっていましたが、インターネット等によって医療の処方や、医師の実績をオープンにしていく仕掛けが必要でしょうし、顧客インタラクション(顧客間情報)をもっと充実させるような心構えがいるということのようです。

診療費について、その30%を負担した段階で、患者側でのコストへの感受性が高まり、患者の側からの意見が出るようになると、桜堂さんは強調されています。今後進展していく医療改革を受動的に待つだけではなく、私達の側も、勝手に医師・医療を聖域化して、侵してはいけない領域と決めつけるのをやめて、もう少し自覚を持って医療と取り組み続けなければいけないのでしょう。

今回は若干固めの講演後記になってしまいましたが、出席者のみなさんも、アンケートにて貴重なご意見を寄せていただいていますので、ぜひ「会員の声・講演の感想」の方もご覧になってください。



 「医療の現場から」というタイトルを頭に思い浮かべながら、「一体どんな方が講師をされるのだろう?」と、講演当日の夕方少し早い時間に会場に伺いました。
そこに現れたのが桜堂氏です。
ソフトな語り口のなかにものぞく知的でクールな表情に、講演前にすっかりファンとなってしまいました。
 私自身、身内が病院のお世話になることが続いた為、医療に対しては「期待」そして「不安」を沢山いだいておりました。
「もっと早く桜堂さんにお会いしたかった・・。」というのが正直な感想です。
 医療を客観的に捉えることができたなら、ビクビクした日々を過ごすこともなかったのに・・・と痛感しました。
 医療の世界も通常のビジネスと同じ。いえ、それ以上に様々な問題を抱えているのだということも初めて知りました。
「標準市場」と「医療市場」の違いを理解された桜堂さんのような方が変革を起こされるのでしょう。
 そして、何より私たち自身が「医療」に対してもっと意識を向けることにより、「医療の世界」もよりよく変化してゆくのだと思います。
気づきを与えて下さった桜堂氏に感謝いたします。(山口里美氏)