第10回講演会・懇親会―平成14年5月17日(水)―
5月のPower30's第10回例会は、「落語の現場から〜笑いでコミュニケーション」という題で、落語家の桂あやめ氏に講演&落語をしていただきました。今回は趣向を変えて、あやめ氏が保有されている天王寺の茶臼山舞台という小屋での講演となりました。
地図を見てきたにもかかわらず、通り過ぎてしまい、迷う人続出の会場でしたが、なんとか無事開演することができました。
講演開始直前まで洋服だったあやめ氏が、いざ講演となると着物で登場され、さすがプロは着替えが早いと一同驚いてしまいました。

現在、あやめ氏のような女性落語家は大阪で3名、東京で5名しかいないそうです。
講演の前半は、落語をやる上での女性であることの難しさや、なぜ落語家を志そうと思ったかなどのお話、後半は折角だからと、新作落語を一席話してくださいました。
東京では落語専門の小屋や会があるのに、大阪では吉本(注:あやめ氏は吉本興業の所属です)で、漫才の合間に落語をやり、それ以外だと今回の会場のように、小さい小屋で何名か集まっての勉強会のようなものを開催することが主になるようです。
完全な年功序列世界である東京の落語界よりも、おもしろくて客を集められるもんが勝ちという、自由な気風の大阪の落語界の方が自分には合っているとおっしゃっていました。

しかし、そうは言ってもやはり女性はかなり軽視されているようで、東京での女性初の飛び級の真打ちを作ったときには、多大な反発に対して「単なる話題作り」という説明でお茶を濁されたり、楽屋でも女性が入ると急に話題が変わったりで、気を使うことも多いと話されてました。
また、一番大きい男女の差は、落語の演目のほとんどすべてが男性の視点・会話で描かれているということだそうです。
普通に語っても、男性のような格好をして語っても、お客さんは「?」と思うだけで笑ってくれないので、それならいっそ女性の視点の新作を作ろうと思い立ち、やっとふっきれて落語ができるようになったそうです。

そのような話の後、新作落語「合コン大作戦」を披露してくださいました。
ご本人いわく、30歳を過ぎなければ絶対に出来なかった、魂の叫び「ソウル落語」だそうで(若手の芸人さんは「怖い・・」と引いてしまうそうですが)、同年代の私達には、爆笑ものの演目でした。
ここでこと細かにネタを書いてもおもしろくないので、これは聞けた人だけの役得として、とにかく「これも落語なんだ」と、落語に対してとても親しみを感じました。
恐らく、今は古典と言われている数々の落語の演目も、当時の時代・風俗を反映したものであったでしょうから、あやめ氏の語る新作落語も立派に「落語」なんですよね。

あやめ氏がまだ高校生の頃、初めて学校の鑑賞会で、林家小染の落語を聞いて、「オチ」を語ってスッと去る落語のかっこよさにすっかり魅了されたのが落語への入り口だったそうです。
その後おっかけを装い、桂小文枝(現:文枝)師匠の楽屋口に通い、運転免許を取ったら弟子にしてやるという約束を無理やり取りつけ、合宿免許に通い、強引に弟子の立場を獲得したとのこと。
そのあたりのエピソードをおもしろおかしく語ってくれました。

今年で落語家になって丁度20年の記念すべき年。
6月には独演会もされる予定です。
この20年間、落語をやめたいと思ったことは一度もないそうです。
独自の語り口で、落語会の中に居場所を確立した桂あやめ氏、テレビ・コラムにと多方面に大活躍中ですが、同年代の女性として、今後もさらなる活躍を大いに期待しています。